Web2.0な監視社会? (2)

イデアの骨子を先に行っておくと、いま起こりつつあるのは、監視の目が遍在が、デジカメ、携帯のカメラ、ブログ、動画サイトなどのテクノロジーの普及&チープ化に支えられて、ほんとうに思いもよらないところまで浸透してきているということ。大事なのは、個人レベルで監視+記録+発信+転載ができること、監視網はあらかじめ存在しているのではなく何か起こったときに瞬時にあらかじめそこにあったかのように組織化されるということ、ネットとリアルはそこで相互参照し合って一方だけでは留まらない状態になること、の3点だと考えている。先の当て逃げ事件は、このことを本当によく示したと思う。

では当て逃げ事件の経緯をたどりつつ、考えてみたい。


局面1  2006年10月〜12月
Aさん、当て逃げされた経緯をブログに書く。車載カメラの映像を添え、警察に届け出るも、軽微な事故のため、さほど熱心に捜査されない。その不満もブログにエントリ。

局面2 2007年04月19日〜
Aさん、当て逃げされたときの映像をネットで公開すると同時に、ブログに車種、車両ナンバー、所有者Bさんの実名(一部伏せ字?)、住所の一部を記載。

局面3  2007年6月12日00:57〜
2chに事件に関するスレッドが立つ。AさんのブログからBさんの個人情報がそのまま転載。勤務先会社名とそのHPも記載。ほぼ同時にyou tubeニコニコ動画へも動画が転載される。数時間後にはBさんmixiのページが発見されコメント欄に書き込みが殺到。会社の掲示板にも集中的な書き込みが始まる。翌朝には会社へ電話が。ネット上にはBさんの自宅とその付近の写真、車検証の写真まで公開される。Bさんの会社のウェブサイトが一時閉鎖に。

局面4  2007年6月12日〜26日
13日頃からネット上のニュースサイトが注目をはじめる。15日に、同日の日付をもつ経過説明とBさん解雇の文章が会社のページに掲載。18日に、ネットニュースのJ-CASTが一連の事件を記事として配信、excite, infoseek, livedoorなどのポータルサイトにも掲載される。25から26日かけて、フジテレビ、日本テレビテレビ朝日が相次いで地上波ニュースで取り上げ、同時にそれらがYouTubeに転載される。朝日新聞も26日に朝刊で取り上げた。なおテレビ朝日の報道によれば、Bさんの自宅近辺には中傷ビラが複数貼られている。

これが、事件のおおまかな経緯。さて、これからどんな監視の姿か見えてくるだろう。