警察の防犯カメラの運用が住民に委託


 「警察庁が来年1月をめどに、全国15地域で通学路に防犯カメラを設置するモデル事業」をはじめるのだそうだ。そしてその防犯カメラの運用(による監視)は地域住民に委託するのだそうだ。色んな地方紙でそれぞれニュースが載ったと思うが、例えば以下は『西日本新聞』の批判的な社説。

 警察は全国の繁華街で計363台の防犯カメラを設置・運用しているが、住宅街へ設置するのは初めてであり、住民への委託も初めてだ。警察庁は「住民の防犯活動を支援する」と意義を強調するが、気掛かりなことが少なくない。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/106962

次は『東京新聞』。

 同課[栃木県警生活安全企画課]によると、カメラの映像は公民館などの施設に機器を置いてボランティアがモニターを監視する。カメラの設置場所も公開する方針で、県警の担当者は「犯罪抑止効果は大きい」と期待する。

 ただ、国の補正予算に対応して突然発表された事業ということもあり、住民への説明や運用マニュアルづくりはこれからだ。地元の男性(66)は「住民同士で防犯カメラを見ることには抵抗がある。皆が皆、賛成するとは思えない」とプライバシーの侵害を懸念する。

 また、同事業は本年度から二〇一一年度末までのモデル事業であるため、一二年度以降の予算の見通しは不透明。年間三百万円かかるという維持費も確保していく必要がある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20090707/CK2009070702000091.html

 使い方によっては「防犯カメラ」も有用だろうが、それにしても地域住民に「相互監視」させるとは・・・ 恐ろしい世の中になりつつあることよ。警察の言う「犯罪抑止効果」も多少は期待できるだろうけれど、それと引き替えに地域ボランティアの人は「監視」することを求められ、通行人は無用なカメラの視線に曝され、録画される。いい方向とは思えないなぁ。補正予算でいきなり始まった事業のようだから、継続して予算が出ることなく、このまま廃止になっていって欲しいのだけど。この動きが広がらないことを切に祈る。